人間界の自然を元に戻すことは、
人間に欲望を捨てろというのと同じことで、
そうすれば妖精が人間と戦わなければならなくなる。
だが、妖精には人間と戦う意志もなければ武器もない。
こんな状況では、たとえ次元が違うといっても、もう人間と同じ星に住むことは不可能だと他の星へ移住するしかないと思う妖精たちも増えていた。
新たな道を模索し、協議する妖精たちの間で、伝説の「白コウモリ」の言葉が蘇った。
700歳の妖精オリジーは、子供の時に迷い込んだ森の洞窟の中で、神様とも思える光を放つ巨大な白コウモリに遭遇していた。
その白コウモリはオリジーに、「村に黒い泉が現れたときには、人間でもなく妖精でもない子供をここに連れてくるように」と言った。
今となってはそれが夢だったのか、現実だったのか判然としない中で、妖精達は荒廃した地球を救うために、その伝説を手がかりに答えを見つけ出そうとする。
『妖精心得』
一つ、妖精は人間に存在を知られてはならない。
一つ、ミエミエ草を食べた時は十分注意して体を慣らしてから行動すべし。
一つ、妖精は無闇にチョーダイ菜(お金)を使うべからず。
一つ、妖精はパットボーの木の粉を絶対に妖精にかける(消える)べからず。
一つ、妖精の子供は人間界ではけっして単独行動はせず、やむを得ず行動する時は必ず指導担当者に報告し指導を受けること。
一つ、妖精の子供はミエナイ草を食べてから必ず日没前に虹の門から妖精界に戻るべし。
一つ、人間界は危険に囲まれていることを忘れるべからず。