あらすじにくい。みにくい。──すべてが。繊細な民世(たみよ)は、憂(ゆう)の他愛ない一言に、いつも棘を感じていた。誘いの断り、ズレた慰め、行動への否定。民世のなかで、愛されたさと憎しみは、日々ちくちくと縫い上げられていく。暑い夏の日、衝動の果てに、民世は凶行に及ぶ。