20世紀に入り、怪物「がん」と闘うには「治療」という攻撃だけでなく、「予防」という防御が必要であることがわかる。かくて、がんを引き起こす最大の犯人として、たばこが指名手配されたが……人類と「がん」との40世紀にわたる闘いの歴史を壮絶に描き出す!
1964年1月、アメリカ公衆衛生局長官はひとつの報告書を発表した、「たばこはがんの主要な原因である」と。たばこ産業にとって、この報告書はまさに爆弾であった。この時から全世界に覇権を広げるたばこ会社と、「がんの予防」を推進する人々との熾烈な戦いが始まる。そしてまた、巨大企業、患者、医師、研究者とのあいだの壮絶なドラマは、がんを治す「新薬」をめぐっても行なわれていた。 その一方で、分子生物学の進歩は、がんの根本的な原因を明らかにする。異形の怪物の原因は、我々自身が体内に持つ遺伝子の突然変異の蓄積によるものだったのだ!