これから僕は君に、少し長い手紙を書こうと思う――。「今、ぼくたちは、とても困難な時代を生きている。ひとがひととのつながりを見失いつつある時代に生きている。ある意味では、ひとを信頼するという当たり前のことが、こんなにむずかしくなった時代はないかもしれない。でも君が、個人を信頼することがむずかしいことがあっても、人間への信頼を失わないでいてくれたら――今という時代に失望を感じることがあっても、絶望のなかにさえも希望を見い出そうとしたひとが、かつていたことを忘れないでいてくれたら。そう願ってやまない」――「小さなひと」)サン=テグジュペリ、石牟礼道子、岡倉天心、神谷美恵子、吉野源三郎、リルケ、ミル、小林秀雄、河合隼雄【目次】小さなひと春の使者 言葉の花束悲しみの弦コペル君と網目の法則愛と「生きがい」コトバのちから自由の危機いつくしみの手仕事「空」の世界と「いのち」のちから読書の扉愛しいひとおわりに参考文献/ブックガイド