名門旗本の早乙女家には、双子の兄弟がいる。文武両道、品行方正なのは弟の右門のほうで、肝心の跡継ぎ、兄の早乙女左門は、まことぐうたらで不真面目な若者であった。
だがこの男、唯一の趣味である事件の探索にかかわると、途端に才能のきらめきを見せる。
しかも、これまた天賦の才か、剣を持てば師範代の弟に勝るとも劣らぬ……いや、唯一無二の必殺剣を繰りだす実力者であった。
真の力を隠した左門は、弟の婚約者である喜多姫へのかすかな思慕を秘めたまま、さまざまな事件を通し、卑劣な人身売買の闇を追及していく。
そしてその先には、思わぬ別れが待っているのであった……。
剣と涙の痛快シリーズ・第二弾!