かつて愛の道標だった彼が今、わたしを愛の迷い子にする――
19人目の求婚者を断り、ポリーは憂鬱な気分に沈んでいた。
5年前、社交界で注目の的だったヘンリー卿に熱烈に求愛され、彼女自身も魅力的な彼への想いに胸を焦がしていた。
しかし放蕩者で通る彼は、ポリーの親からすれば“要注意人物”。
まだ若すぎた彼女は親の言いなりで逆らうこともできず、ヘンリー卿からの駆け落ちの誘いを泣く泣く拒んだのだった。
あのとき、もしも彼の胸に飛び込む勇気があったら……。
その後のヘンリー卿はといえば、さらに放蕩に拍車がかかった様子だ。
ある夜、舞踏会で誤って飲酒したポリーは酔った勢いのままにヘンリー卿との過去を清算しようとして、逆に彼にキスされてしまう!
■リージェンシーの旗手ニコラ・コーニックが19世紀初頭のロンドン社交界を生き生きと描いた名作をお贈りします。悪名高き貴族ヘンリー卿への恋心は色褪せることなく、ポリーは心密かに未練を募らせてきました。彼の不意のキスの意味とは?