江戸時代中期、破滅的な財政危機に陥っていた米沢藩を質素倹約、殖産推進によって立て直し名君として知られる上杉鷹山。40年に及ぶ鷹山の藩改革が、ようやく実を結び始めるのは後半の20年に入ってから。その成功に至るプロセスで重要な役割を果たしたのが庄内藩の酒田商人・本間光丘。本書の著者は力説している〈光丘なくして鷹山なし。これは、何度繰り返しても言い過ぎではない〉と。鷹山が挫折からもう一度立ち上がろうとしたときに頼ったのが光丘。〈鷹山公の背後には、本間光丘という希代の名コンサルタントが軍師的存在として立ち現われ、その指導と助言に従って再建事業に着手した時、初めて前半生の二十年間にわたる苦闘の積み重ねがモノを言い、息を吹き返したのである〉。本書は鷹山を指南したその本間光丘の経営哲学を余すところなく伝えている。堅実に徹し、派手な投機には手を出さない。金を貸す相手には無理のない返済方法までを指南。必要な社会事業には惜しみなく金を注ぐ。一介の商人にとどまらない巨象の姿が見えてくる。〈目次〉第一章 自由都市酒田の伝統・自主自立の気概第二章 新興商人のチャンピオン第三章 米相場の天才、本間宗久の登場第四章 若き三代目光丘の着眼点第五章 本間流ケインズ政策の真相第六章 破産大名の再建請負ビジネス第七章 上杉鷹山の再建アドバイザー第八章 救済対策から始まった保険ビジネス第九章 最も確実な資本蓄積の道第十章 蝦夷地経営に乗り出す本間船エピローグ 永続的発展の道