頭が痛い、体が重い、寝つきが悪い、ずっと腰が痛い、肩が凝る、肌が荒れる、やる気が出ない......。
こんなふうに、病院に行くほどじゃないけれど、調子が悪くて、いつも悩まされている......そんな「なんとなく不調」はありませんか?
一時的にではなく、いつまでもそのような不調を抱えたままなら、それは、東洋医学でいう「未病」の状態にあります。
未病とは、その字が表すとおり、「未だ病になっていない状態」=「健康と病気のあいだ」を意味します。
そもそも人の体や心には「健康」か「病気」か、その明確なボーダーラインがあるわけではありません。未病とは、「健康とも病気ともいえない状態」のことです。
これから病気になるかもしれないし、健康になれるかもしれない。
どちらにも転ぶ可能性があります。
そして未病を改善しないままでいると、病気にどんどん近づいていきます。
「『なんとなく不調』だけど、寝込むこともないし、毎日働いていられるのだから、これくらいはまあいいや」「よくわからない不調は未病というけれど、結局まだ『病気ではない』わけでしょう?それならまだ安心だ」
そうタカをくくっているかもしれませんね。
けれども、未病のゾーンにいる限り、いつどこで病気の状態に陥っても不思議ではありません。
「なんとなく不調」を抱えたまま放っている状態はじわじわとなんらかの病気に近づいている状態と言っていいでしょう。
それどころか、どんなに健康に自信がある人、なんの不調もなく健康そのものと思っている人でも、日々、知らず知らずのうちに、「病気」へと一歩一歩、近づいているかもしれません。
この本では、「自分の力で未病を改善するための方法」をお話ししていきます。
1章ではまず“「未病」の正体”や、未病状態にあることの危うさ(リスク)を明かしていきます。敵を制するにはまず敵を知らなければなりませんね。
また2章では未病を改善させるために、常日頃から具体的にどんなことを意識して実践していけばよいかを説明していきます。
3章では、体や心の不調のなかでも比較的多くの方が抱えているものをとりあげ、それらの改善や予防をするための“処方箋”を解説していきます。
そして章では、私の研究会に所属していた、「未病研究ゼミ」の学生たち自身の生活体験の「実態」を、彼らの率直で正直な言葉を交えてご紹介したいと思います。学生たちのリアルな考えや健康への取り組みを聞くことで、より未病改善を「自分ごと」として考えられるでしょう。
目まぐるしく動いていく社会にあって、現代に生きる人たちの多くは、仕事や家事・子育てのなかで、目の前にある「今やらなければならないこと」を最優先にして、自分の体や心をついつい置き去りにしてしまいがちです。
目の前の仕事も、家事や子育てもより良い未来の自分、家族、社会につながっていくことですから、確かに大事なことです。
けれど、今の自分の心や体も、未来の自分の心や体につながっているのです。
第一に、より良い未来の自分、家族、社会のどれも、今の自分の体や心の状態が土台になってこそ築かれていくものです。その土台が揺らいでしまっては、より良い未来をつくりあげていくことなんてできないでしょう。
現在、そして将来にわたって、日々、はつらつと生活しながら最高のパフォーマンスで輝いて生きていけるよう、今、本当にあなたがやらなければならないことに気づき、未来をより良くしていけるよう、この本がいくばくかでもお役に立つなら、それに勝る幸いはありません。