澤木興道は日本を代表する禅僧です。1880年、三重県津市の出身。幼くして両親を失い、決して裕福とはいえない養父母のもとで育ちました。1899年に永平寺で出家、生涯独身で自分の寺を持たず、各地の道場を転々として坐禅を広めました。のち駒澤大学特任教授として後進の指導にもあたります。1965に亡くなりましたが、そのシンプルで清々しい彼の教えは、米国のスタンフォード大学にある曹洞禅センターにも受け継がれました。禅を愛するかのスティーブ・ジョブズ(アップル創業者)も間接的に影響を受けています。
澤木興道は生涯を通じて禅の教えを説き、多くの講話をおこないました。そのなかから私たちを励まし生きる力を与えてくれるような言葉を選び出したのが本書です。
「今! 今! 今! 一生が今の連続である」
「幸福というようなことを、
そう単純に自分の幸福や不幸で考えるのは間違っている」
「今日を空虚にして過去のことばかりいっているものは、過去の亡霊だ。
未来未来といっているやつは未来のまぼろしだ。
わたしどもはいつでもピチピチして、思い切り充実して生きねばならぬ」
「自分になり切る。
わたしがわたしになり切る。
あなたがあなたになり切る。
山が山になり切る。茶碗が茶碗になり切る。
一切の物がそれ自身になり切る」