著者・白取春彦は、哲学書についてこう語る。
私は、哲学書を思考と人生経験の芸術だと思っている。
論理の正確さだの思考体系だの真理の探究ではないと思っている。
人生について考えることは、
重要度において論理のような人工的なものをはるかに越えた事柄ではないだろうか。
もし、人の生き方を論理と効率性で割り切って考えてしまうのならば、
結局のところは経済的損得勘定になってしまうだろう。
そんな味気ない虚無主義的な人生を、私個人は人生と呼びたくない。
著者は古今東西の多くの哲学書から学んだ生き方のヒントを紹介するのにとどまらず、
読者に向かって熱く呼びかけ、励ます。
この一回限りの人生を本当に生ききりたいのなら、
自分主義でいかなければならない。自分が自分のルールを決め、自分がその責任をとるのだ。
人生になんらかの物差しをあてて測定して人生の結果とするのはあまりにも小さすぎはしないか。
それよりも、何が起きてもひるまず、たじろがず、むしろ不敵な笑みを浮かべて取り組む生き方のほうが人間としても高貴ではないだろうか。
読む人は誰でも、自分の人生を肯定し、前に進む勇気が得られるに違いない。