「いい俳句といい写真が出会ってもいい作品ができるとは限らない。
写真を先に撮るか俳句を先に作るかの違いはあっても、どうしても写真が俳句を、
俳句が写真を説明するようになってしまうのだ。」
(小西昭夫氏による特別寄稿「新しい自分との出会い ―花追人の世界―」より)
「写真俳句」とは、写真と俳句を組み合わせて表現する、新しい表現形態である。
写真に句が添えられることで、写真に物語が生まれ、俳句が力強い生命力を獲得する。
写真だけでも俳句だけでも描けない新しい世界が、そこには開かれる。
しかし冒頭で小西氏が指摘するように、写真と俳句の距離感のコントロールができなければ、
それはただ饒舌で冗長な表現に終始してしまう。
写真家・エッセイストとして活躍する小川裕司は、この楽しくも難しい表現に挑戦。
「花追人」をテーマに100句の写真俳句を制作し、小西昭夫氏にる選句の後、
俳句のメッカ松山と、リクエストに応えて小倉で展覧会を開催。見事新しい表現の獲得に成功した。
本書は、その展覧会の記録を編集し、電子書籍としてさらに新たな表現形態に挑むものである。
「俳句と写真を組み合わせることで生ずる何か新しいざわつきのようなものを
皆様に感じていただければ」(「あとがき」より)。