鰹節を手削りするーー。
かつてあった日本の家庭での光景は、もう遠い昔のこと。
著者である永松さん(通称「かつおちゃん」)は10年ほど前、祖母が鰹節を削る姿に心を打たれ、それ以来、鰹節一筋。
5年前には、たっぷりの鰹節を削ってご飯に乗せる、究極シンプルな朝ご飯を提供するお店「かつお食堂」を東京は渋谷にオープン。
「ミシュランガイド東京2022」「ミシュランガイド東京2023」の「ビブグルマン」で掲載されました。
毎朝豆を引いてコーヒーを飲むように、食べる直前にチーズを削ってパスタを食べるように
鰹節を“ガリガリシュッシュ”と手削りして、料理に“パラリ!”
この“ガリガリシュッシュ、パラリ!”が
かつおちゃんが奏でる、鰹節の美味しいリズム。芳醇な香りが鼻を刺激し、いっそう旨味がふくらみます。
「鰹節はまるでお母さん」
かつおちゃんはそう言います。
削った鰹節は、ガリガリの粉っぽいものでも、シュルシュルっとした羽衣のようなものでも
“削れていればOK”と、いたって懐が深いから。
そして、日本の味を生み出す素としておばあちゃんから、そのまたおばあちゃんからつながれ、
お母さんから子どもへ、そのまた子どもへとつなぎ、“食を育む”“愛を育む”から。
ほっととする存在なのです。
〈鰹節への愛がたっぷり!〉
そんな鰹節の包容力を実感してもらうには、実際に使うのが一番。
かつおちゃんは、アイスクリームやフルーツにもパラリ。
「スイカに塩をかけると味わいが増すのと同じで、鰹節の塩けがフルーツの甘みを引き出し、旨味がプラスされるんです」
本書にはほかにもたくさんの活用、鰹節を使った出汁のひき方、活用法を掲載。
鰹節のつくり方、歴史、鰹節づくりの職人さんの話、鰹節をめぐる旅情報などもあり、
縄文時代からつながる日本の味をもっと知りたくなります。そして、鰹節を削ってパラリ、したくなります。
[もくじ]
【一章】鰹節を削る|美味しいリズムのひとかけを
【二章】幸せの黄金スープ
【三章】手削り、やってみよう!
【四章】鰹節の愛を育む
【五章】顔が見えるかつお旅
【さいごに】かつおちゃんのメッセージ