【連載版1~7話をまとめた合本版】外は雨、間もなく閉店のバー『ラ・メール』にひとりの客が訪れた。喪服を着た男が雨だれを零しながらドアをくぐる。目を奪われていたバーテン・志村に男がオーダーしてきたのは、前オーナー里見の十八番だったカクテル『チャールストン』だった。恐らくこの客の来店は初めてではない…そんなことを考えていた矢先、二杯目のサインが出る。「ゴーストドッグを」。『もし、このカクテルをオーダーして来る奴が現れた時は気を付けろ、そいつは本物の犬の幽霊かもしれねえぞ』。 志村は昔、里見に言われたことを思い出していた…。※書籍版と同様の加筆修正済です