蘭方医と妖狐が大奥の怪異に挑む!
武家の蘭方医・武居多聞が出会った不思議な薬売り。その正体は、九尾の狐の九本目の尾……千年を生きる妖狐であった。かつて愛し、そして同胞に殺された人間の娘のために、長い時をずっと妖怪を狩りつづけながら生きているという妖狐――青から、あやかしを斬ることができる銀の小太刀を預かった多聞は、ともに江戸を騒がせる事件にかかわっていくことに。そして、事件の裏に隠された“綾”を追うなかで、多聞は人の心の闇の深さを知っていく。
ある日、以前解決した事件で知り合った歌舞伎役者の鹿の輔が、多聞の診療所にやってきた。鹿の輔と繋がりのある大奥の中年寄を紹介され、大奥で自害した女の幽霊が祟りを起こし、被害を受けた者が続出しているという話を聞く多聞。中年寄の依頼を受けた多聞は、事態を調べるために青の幻術を使って大奥に潜入することになるが――!?
人の恨みや悲しみが生みだすあやかし事件と、妖狐が抱く千年の想い。綾解き和風ファンタジー、第二弾!