冬を間近に控えた晩秋のある日、豊島町にある鼻緒問屋『和賀屋』から三十両が盗まれた。その金額から、江戸の町を賑わすと盗人『ほたる火』の仕業ではないかと疑われた。だが、北町奉行所定町廻同心・井原伊十郎は、『ほたる火』との僅かな手口の違いを見つけ、偽物の仕業と気がつく。偽物の正体と三十両の行方は――。一方、伊十郎の縁談相手、百合に厄介な疑惑が生まれた。『ほたる火』の姿を見たという絵師の鳥海英才が、百合の顔を見るや、彼女を『ほたる火』と言ったのだ。果たして百合が『ほたる火』なのか……。そして、独り身同心・井原伊十郎の縁談やいかに――。大好評シリーズ第四弾!