あらすじ七月七日夜七時からの一時間、決められた店のガーベラが一輪挿してあるテーブルで食事をすると500万円が振り込まれる。大学を卒業以来、僕は毎年この仕事をしている。僕が行かなくなった時点でこの仕事は終了すると伝えられていた。十七歳の夏に書いた曲が、今の僕の作曲家人生を支えているけれど、あの夏の記憶が僕にはない。今年の夏、雨の降り始めた駅前の笹に、僕は『大切な人に出会えますように』と願いを書いて吊るした。……僕の知らない僕の恋は、彼女だけが知っている。