共通の趣味である「小説」をきっかけに親友となった、中学生の積川と枝折。枝折が書いて、積川が読む――そんな二人の関係は、積川の自分勝手な感情で、終わりを迎えた。――数年後、大学生となった二人は偶然の再会を果たす。未だに複雑な気持ちを抱え続ける積川に対し、何事もなかったかのように振る舞う枝折。半ば無理矢理、あの頃と同じ関係に戻った二人だったが…。枝折が書いていたのは、同性同士の恋愛を題材にした作品だった。しかし、その内容はどこかリアリティが感じられない。かつての記憶を辿り、"恋愛を追体験すること"で小説が良くなると考えた積川は、勢い余って「自分が相手役をする」と提案してしまい――。