伯爵令嬢のシェリルは、王太子の婚約者である姉の近衛騎士になるために剣の修行に励んでいた。
王や王妃不在のある日のパーティーで、王太子が心を寄せた男爵令嬢ローゼをいじめたという理由で、姉が突然婚約破棄されてしまった。
濡れ衣であったが、姉はすぐさま投獄され、そのまま地下牢の中で亡くなり、翌日に父親も事故で亡くなってしまった。
唯一残った家族である兄と没落した家を守るため、シェリルは、新たに王太子の婚約者になったローゼの近衛騎士として仕えながら、ローゼのいじめに耐える日々を過ごしていた。
迎えた王太子とローゼの結婚式当日。
披露宴会場に乗り込んできた賊の首謀者として疑われ、捕らえられそうになったとき、来賓としてその場にいた獣人の国・フランベルグの国王と、その護衛・コンラートに助けられる。
そのまま口裏を合わせているうちに、シェリルはコンラートと婚約をすることに。
婚約はシェリルを助けるためのその場しのぎだと思っていたら、どうやらコンラートは本気でシェリルとの結婚を望んでいたようで……?
<作者より>
つらくて苦しくて逃げ出したくても、我慢するしかない。そうした理不尽なことが、たくさんあると思います。
我慢して我慢して積みあげられた重圧に押しつぶされそうになったとき、救いの手を差し伸べてくれる人がいたら……きっと、その人はかけがえのない特別な人になるのではないでしょうか?
これは、いじめられ続けたシェリルが自分を必要としてくれるかけがえのない人との出会いを通じて、本来の自分を取り戻していく物語です。もし、興味がおありでしたら、読んでくださると嬉しいです。