伯爵家の三姉妹――聡明な姉と可憐な妹の間に挟まれている次女は容姿も頭脳も平凡。
そんなコルネリアにある日、婚約の打診が入った。
お相手は多くの令嬢が憧れてやまないミューエ侯爵家のシュテファン。
トントンと話が進み、わずか数カ月という異例の婚約期間の末に式を迎えるが、その間に顔を合わせたこともなく、初めて彼の声を聞いたのは結婚式での誓いの言葉だった。
「申しわけないが、貴女を愛することはない」
式を終えて、初めて二人きりとなった初夜で彼が放った一言。
何の理由もなしに平凡な私を欲する人間がいるわけがない……自身でもそう思っていたコルネリアだが、だからといって初夜でそういわれて許せるかといえば別の話。
シュテファンが婚約を申し込んできた真意を知り、逆に仕返しをしてやろうと強く決心をするコルネリアは、今すぐに離縁をするのではなく、ある条件を提示する。
「五年の間に私を愛せなかった場合は離縁してください」
生まれ育った環境から、恋愛感情を知らなかったコルネリアとシュテファンの不器用な恋物語。
『五年で私を愛せなければ離縁してください(3)』には「姉の婚約 1」~「ときめく 2」までを収録