妹から押し付けられたウェディングドレスに出来心で袖を通した夜。
突如として背後に現れた謎の腕により、夏目凛子は異世界である万果に引きずり込まれる。
そこで告げられたのは、存在するだけで死の気配『穢れ』を振りまく危険な男、カノエの花嫁となることだった。
カノエと同じ部屋にいても近づいても平気な凛子は、その存在自体が多くの人に死を与える『穢れ』そのものであり、戦闘力が高いがゆえの国を守る最強の兵器でもあると恐れらるカノエにとってとても稀有な存在だった。
凛子が対話を図ろうとすると赤面してまともに喋れなくなるカノエ。元の世界に戻ることもできないため、仕方なしに同じ部屋で過ごし、カノエの身の回りの世話をするなかで彼を少しずつ知っていく……。
そしてある事件をきっかけに知ることとなった、自分が万果に呼ばれた本当の意味と役割とはーー。
『狂犬へ捧ぐ恋のうた(7)』には「かぞくの章 六」~「かぞくの章 春に巣立つ子犬」までを収録