幼いころから王太子妃になるべく教育を受けてきた侯爵令嬢アイシャは、従姉妹であり義妹に奪われ婚約破棄を言い渡された。
その一カ月後、大国を統べる皇国の皇太子で別名「黒皇子」と呼ばれるジルクライドは聡明で美しく婚約者が不在のアイシャに「私の妃に」と政略結婚を申し込む。
引く手あまたのはずの彼から自分が選ばれた理由を悟り、政略結婚を引き受けたアイシャは婚約者として一緒に皇国へ向かった。
皇国へ帰途する中や王宮で一緒に過ごすうちに、アイシャの聡明さはもとより、芯の強さや内に隠されたかわいらしさにどんどん心惹かれるジルクライド。半年前に亡くなった婚約者への気持ちとはことなり、自分が初めて恋に落ちたこと、実はひとめぼれだったことを自覚する。
誠実で凛々しいジルクライドはアイシャを大事にし、やがて二人の気持ちは通じ合う。
「俺の命がある限りお前を守るのは俺の役目だ」
そう誓い合った日からほどなく、婚約を阻害しようとする者の罠にかかり、強力な媚薬を盛られたジルクライド。
迎える初夜の儀式で処女でなければ婚姻が不履行になる。二人はどうなるのか――。
『初恋を自覚した黒皇子 婚約破棄された令嬢を甘やかす(5)』には「黒皇子、満たされる」~「皇太子妃、夫の容姿を理解する」(前半)までを収録