癖がありフワフワしている黄色味が強い髪色と葉っぱのような緑の瞳を持つタンポポ令嬢こと、リアスティアにもついに婚約者が決まった。
親が決めた婚約者――ブルーグレーの髪に氷のような色の青い瞳をもつ侯爵家の次男で、将来を期待されている若き騎士ゼフィー。
貧乏伯爵家の私には不釣り合いで親には絶対に逃すなと厳命されている優良物件だ。
しかし、その婚約者は周囲から冷酷騎士と呼ばれている。
もう、何回も一緒にお茶の時間を過ごしているけれど、ひんやりした目線に、氷点下を感じる返答――毎度、私のことを冷たく見据えるばかりで一向に距離が縮まる様子なし。鋼メンタルとか言われる私ですら、会話が続かない……。
こうなったら、決闘を挑み勝ったら婚約破棄してもらおうと申し出る。
「…………婚約破棄、してもらえませんか?」
「それは、決闘の勝利としての願いか?」
本当にたまたま勝ってしまったので、願いを申し出てみれば、ほんの少し唇をゆがめ悲しそうな顔をした。うそでしょ?
その日から、冷酷だったはずの婚約者の態度は大きく変わる。
孤独な訳あり冷酷騎士と、タンポポ令嬢のピュアなファンタジーラブストーリー。
書き下ろし
『魅了の瞳を持つ令嬢と平凡な騎士』
『嫁入り前夜の恋物語』
『あのお茶会をもう一度』収録。
『婚約破棄のため冷酷騎士に決闘を挑んでみましたが、溺愛されるとか誰か予想できました?【分冊版】1』には「第一章 冷酷騎士に決闘を挑んでみました。」~「第二章 隠密騎士とタンポポ令嬢」(前半)までを収録