魔法が自然と生活に馴染む国、ティヨール。
この国では十歳になると、国民全員が魔力測定を義務付けられていた。
「王国の国民、全員に初歩の回復魔法をかけてもまだ余るほどの魔力を持っている」
歴代でも最高値の聖属性魔力を測定された公爵令嬢のシュロールは、新しい聖女の誕生かと、国を挙げて人々から湧き上がる期待を受ける。
しかし、その周囲の期待を裏切るかのごとく、持ちうる魔力を全く使うことが出来なかった。
五年という月日が過ぎ、努力が報われることなく焦燥するシュロールにふりかかる悲劇。
婚約者でもある王太子にも冷遇され、世間には「聖女のなりそこない」と呼ばれ、どんどんと周囲から孤立していってしまう。
家族からも利用し見下され追い詰められるシュロールに、やがて思いもよらない救いの手が差し伸べられる。
果たしてシュロールは、その身体の内に秘めた魔力を使うことはできるのか――?
『公爵令嬢シュロールは聖属性魔力がありあまる(1)【分冊版】1』には「第一章 魔力の目覚めと、記憶の目覚め」~「第二章 避けることのできない婚約破棄」(前半)までを収録