第四王女のラフィは、日々王宮の図書館で薬師・薬術の本を読み漁っていた。
六歳の時に父王が襲われ失脚した。王城から逃れ、それ以降は平民として育った。
二十二歳になったラフィは、持てる知識を使って辺鄙な村の薬師として生活していた。
そんなある日、強制奉公させられそうになった村娘の『身代わり』に、領主様のもとへ行くことになる。
美貌の無表情領主ダミアンのもとへ連れていかれたラフィは、村娘を奉公させる話そのものが手違いだったと知って安堵するが――。
「私は、端の村で薬師をしている娘を、強制奉公させてでも連れてこいと言ったのだ」
(薬師って……端の村の薬師って、私であってたあああっ!!!)
ラフィは、自分の王女時代を知る領主ダミアンに『妻兼助手』になるよう命じられる。
天才魔術師として薬術に精通していたラフィの知識だけが必要と言われ、『薬学辞書』のつもりで、ラフィはダミアンの妻になることを決める。
だが、不器用で素直なダミアンの、やや常識外れな優しさを受け、ラフィは徐々にダミアンに惹かれていく――。
不器用不愛想の薬学研究マニアの領主(三十六歳)と、婚期を過ぎた薬師の娘(二十二歳)の、歳の差ラブコメ。
『薬師の娘は、不器用領主(薬学マニア)に愛される(3)』には、「【十五】 ダミアンの決意」~書き下ろし「領主夫婦のやや濃い日常」までを収録。