「旦那さま?」
長い黒髪に翡翠の瞳を持つ女は「あなた」にそう問いかけた。
しかし「あなた」は何も思い出せない、何もわからない――自分のことでさえ何も。
「まあ……、何も覚えていらっしゃらないと? それは大変。困りましたわ」
自分の帰りをずっと待ちわびていたという彼女は思案の後、「あなた」の記憶を呼び覚ますよう語り始めた。
かつてここにあった美しい薔薇園のことや暮らしていた人々の話、そして――この館で起こった数々の悲劇を!
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「その館に住む者は必ず不幸になる――」
悲劇と絶望のゴシック浪漫サスペンスノベルをご堪能ください!
※電子版は文庫版と一部異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください