プロローグ
第一章 罪と罰について
殺人という罪に本質的な償いはない/弁護人との出会いが私を変えた
更生を期して量刑を軽くするのは誤り/一般市民が刑務所に入るということ
「一〇年、一五年はあっという間」/受刑者は内心で何を考えているか
本当の罰とは何かという模索/時間を剥奪されるということ
「天網恢恢疎にして漏らさず」という真理
第二章 運命について
運命とは変えられるものなのか/得意淡然、失意泰然という態度
自分の強運を信じていた/ヤクザ時代の修羅場/余命宣告から塀の中へ
事件と服役がなければ死んでいた/自分の力で左右できないことは考えない
自分が死刑にならなかった意味/天は自分に妥当な境遇を与えた
人生が終わるまで変えないこと/運命は常に人を試している
第三章 信仰について
日本人独特の宗教観/「神は私自身よりも私の内部にある」
自己修養のプロセスとしての信仰/高校時代に遭遇した霊的な体験
宗教は人間にとって諸刃の剣/刑務所と宗教
自分の罪は赦されたと嘯く極悪受刑者/宗教による安易な働きかけは百害あって一利なし
自分の生き方を貫徹した父への信奉/天と己は欺けない
第四章 父と子について
ヤクザが恐れた在日一世の父/親といえども子より大人とは限らない
幼少から酒場で人を見る目を養った/自分を一度も叱らなかった母
「僕が大きくなったら、父さんを殺してやるからね」
常に自分が中心で疑問もなく生きた父/父は孫にも自分の思うがままを求めた
父と子のケミストリについて/加害者としての責任から息子との縁を切った
法廷で被害者遺族を怒鳴りつけた父/「長生きして、おまえの帰りを待つ」
桁外れの「親バカ」
第五章 労働について
高校を中退して就職/史上最速の出世/「資本主義の原動力は人々の羨望」
英会話教材のセールスで一二カ月連続日本一/「金貸しは金借りである」
金貸しのジレンマ/人が動くのは利益、感情、恐怖/自分の人格陶冶には無関心だった
ヤクザの世界に足を入れる/単純で退屈な作業ほど、その人間を表わす
己の糧となるように働く
第六章 金銭について
専属運転手付きの「豆紳士」/一切の金を入れなくなった父
「経済的自由」を実感する道具/金銭を遣える自分を望んでいた
己の器量に合った消費しかしない/人がお金で豹変する時/俄成金が酒場でやること
「勤労の裏づけのない富は人間を誤る」/人を変えてしまう魔力
「金銭は肥料のようなもの」
第七章 自由について
社会にいれば自由か/「積極的自由」と「消極的自由」/塀の中のスケジュールと規律
偽りの自由に甘んじている受刑者/自由・不自由の概念が消えた/自由と不自由の境界
限定された中での自由もある
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