寛政の改革を主導したものの失脚した、元老中の松平楽翁(定信)が立ち上げた幕府の新たな探索組織・御蔵入改。「お蔵入り」した難事件や奉行所・火付盗賊改が取り上げない事件に挑む五人組のもとに、新たな依頼者が現れた。御家人の本郷竹次郎によれば、決して裕福ではない周囲の者たちが老後に備えて貯えていた銭金を、新たに発見された甲斐金山の採掘資金を募る「信玄講」という集団に騙し取られたというのだが……(「消えた隠居資金」)。
表題作のほか、古典落語に材を取った「千両みかん」など全四篇を収録。
【目次】
第一話 切り裂き内蔵助
第二話 千両みかん
第三話 不幸を呼ぶ大黒像
第四話 消えた隠居資金