あらすじ夫、武田泰淳と過ごした富士山麓での十三年間を、澄明な目と無垢な心で克明にとらえ、天衣無縫の文体で映し出す日記文学の白眉。愛犬の死、湖上花火、大岡昇平夫妻や土地の人々との交流……。執筆に加え講演、選考会など多忙をきわめる夫、季節のうつろい、そして夫の病。「忙しくくたびれて」日記を付けられなかった二年間をはさんで、ふたたび丹念に綴られた最後の一年。昭和三十九年七月から五十一年九月までの日記を収録。田村俊子賞受賞作。巻末に関連エッセイを収録。