七十歳をすぎてなお数々の傑作を書き続けた文豪谷崎の生涯は、一方でスキャンダルと逸話にみちた生涯でもあった。三度の結婚、妻譲渡事件、人妻との密通、あいつぐ発禁――。本書は伝説や通説に惑わされることなくその実像に肉迫する本格的評伝である。
目 次
まえがき――大谷崎と私
第一章 作家の「誕生」
第二章 汽車恐怖症前後
第三章 長男としての潤一郎
第四章 結婚と支那旅行――大正中期の谷崎
第五章 小田原事件――佐藤春夫と妻千代
第六章 関東大震災前後――横浜から関西へ
第七章 妻君譲渡事件と和田六郎――昭和初年の谷崎
第八章 古川丁未子の真実――谷崎第二の妻
第九章 「松子神話」の完成まで
第十章 谷崎をめぐる人々
第十一章 『源氏物語』から敗戦まで
第十二章 京の谷崎――戦後の日々
第十三章 渡辺千萬子と晩年の谷崎
第十四章 「女中綺譚」と「猫犬記」
最終章 終 焉
主要参考文献
跋文〔元本あとがき〕
文庫版のためのあとがき
谷崎関連家系図
人名索引