『どくとるマンボウ航海記』前夜。慶應病院神経科に勤める若きマンボウ氏は、愛すべき患者たちとふれあい、変人ぞろいの同僚と安酒をあおりつつ、人間の本質に思いをはせる――。ユーモラスな筆致のうちに、作家・北杜夫の鋭い観察眼と深い内省が窺えるエッセイ。新たに武田泰淳との対談「文学と狂気」を増補。〈解説〉なだいなだ
目次
第1章 大遅刻と教授からしておかしいこと
第2章 医局員のほとんどが変っていること
第3章 フレッシュマンの生活とイカモノ食いのこと
第4章 朝寝坊の万年おじさんのこと
第5章 宇宙精神医学研究室のこと
第6章 精神科医一刀斎のこと
第7章 医局長の子分役のこと
第8章 留学を思いたつこと
第9章 山梨県の病院へ売りとばされたこと
第10章 助人ついに来たる
第11章 愉しい日々と悲惨な夜
第12章 東京へ帰ったことと航海のこと
あとがき
解説 なだ いなだ
対談 文学と狂気 武田泰淳・北杜夫