三十歳の美しいコミックス作家・川村リリカと、同い年の敏腕編集者・野崎百合子。「俺」「お前」と呼び合う可憐な二人が、喫茶店で、イタリアンで、カツカレーの店で、新作の打ち合わせをする。「それはそのままタイトルになるね」「なるね。メモしとこう」。物語はどのように生まれるのか。創作の秘密が垣間見える連作集。
〈挿画〉牛久保雅美
【目次】
きみはミステリーだよ
いまのような密会の時間
荒野は誘惑する
スクランブルド・エッグス二個をかきこむ
苦手なものはありますか
豆腐とケチャップで微笑する
梨を切ろうとしたとき
オーガズムと自分の現在
裸でプッタネスカ
青い色にからめ捕られて
フレンチフライドポテト
雨のコカコーラ