麻布・偏奇館から終の棲家となる市川へ。「戦後はただこの一篇」と石川淳が評した表題作ほか、「東京風俗ばなし」などの随筆、短篇小説「にぎり飯」「畦道」、戯曲「停電の夜の出来事」など十九編を収めた戦後最初の作品集。巻末に久保田万太郎翻案による戯曲「葛飾土産」、石川淳「敗荷落日」を併録する。〈巻末エッセイ〉石川美子
【目次】
にぎり飯/心づくし/秋の女/買出し/人妻/羊羹/腕時計/或夜/噂ばなし/
靴/畦道/停電の夜の出来事/春情鳩の街/葛飾土産/細雪妄評/木犀の花/東京風俗ばなし/裸体談義/宮城環景を観る
■付録
葛飾土産(久保田万太郎)/敗荷落日(石川淳)