子規との出逢い、漱石との思い出、のちに俳風をめぐり対立した畏友、碧梧桐への敬愛ーー。退学と転校を繰り返した青春時代、引き継いだ「ホトトギス」の経営苦難など迷走と模索をし続けた日々と森鴎外、幸田露伴、黒岩涙香、柳田國男などとの交遊を振り返る。一九四二年、中央公論社から刊行された知られざる自伝を初文庫化。〈解説〉岸本尚毅
目次より「同窓学誌」と碧梧桐
ベース・ボールと子規
第三高等中学校入学
碧梧桐上洛して同宿
復校後第二高等中学校に転ず
間もなく退学決行
「小日本」の廃刊
藤野古白の自殺
子規の委嘱を辞退
鴎外との関係
露伴と私
漱石と宮島に
湖南の新婚旅行
万朝報入社
「ホトトギス」を主幹
子規の死
文章熱の勃興
国民新聞に入る
碧梧桐派と虚子派
松山時代の漱石
ヨーロッパの旅
俳句の翻訳
日本俳句作家協会の結成
選者生活五十年
善悪良否の標準
文章の誘惑