「戦略」については、古今多くの論考がなされ、広く注目を集めてきた。しかし現在、欧米の軍事専門家が最重要視しているのは「戦略(strategy)」と「戦術(tactics)」を架橋する「作戦(operation)」の考え方である。日本ではもともと作戦という言葉が幅広い使われ方をしていることもあり、この概念はいまだ理解が進んでいないが、戦争を取り巻く状況が変化した現代にあって、その役割を学ぶのは喫緊の課題であろう。本書では「作戦」の歴史的経緯をふまえたうえで、現在論議されている具体的な事例を検討する。
目次
序論 ポスト冷戦時代における作戦の特色―「軍隊行動の三レベル」
第一部 作戦の起源
第1章 作戦のない軍隊運用―絶対君主時代の戦闘回避主義
第2章 「大戦術」の開発とナポレオン戦争
第3章 ジョミニとアメリカ南北戦争
第4章 クラウゼヴィッツの「戦略」とモルトケの作戦
第二部 冷戦期までの作戦
第5章 米軍の消耗戦方式―封印された作戦の概念
第6章 ソ連軍の縦深作戦
第7章 フラーとハートの士気喪失作戦
第三部 ポスト冷戦時代の作戦
第8章 「緊要で、脆弱な『重心』」の追求
第9章 「影響」重視の考え方
第10章 複雑な「問題」と「システミック作戦デザイン」
おわりに