太宰治から「会ってくれなければ自殺する」という手紙を受けとってから、師として友として、親しくつきあってきた井伏鱒二。井伏による、二十年ちかくにわたる交遊の思い出や、太宰の作品解説を精選集成。「あとがき」を小沼丹が寄せる。中公文庫版では井伏の没後に節代夫人が語った「太宰さんのこと」を増補。
目 次
I
太宰治の死
亡 友――鎌滝のころ
十年前頃――太宰治に関する雑用事
点 滴
おんなごころ
太宰治のこと
太宰と料亭「おもだか屋
琴の記
太宰治と文治さん
II
あの頃の太宰君
「ダス・ゲマイネ」の頃
御坂峠にいた頃のこと
「懶惰の歌留多」について
余 談
戦争初期の頃
甲府にいた頃
報告的雑記
太宰君の仕事部屋
御坂峠の碑
蟹田の碑
III
あとがき〔『富嶽百景・走れメロス』〕
解 説〔『太宰治集上』
あとがき(小沼丹)
太宰さんのこと(井伏節代)