第二次世界大戦後間もなくの朝鮮半島。詩人・林和は、かつて祖国を裏切り、日本警察の弾圧に屈服して日本帝国主義の植民地政策に加担したという暗い過去があった。その過去をアメリカ軍諜報機関は利用し、林和をスパイとして操ろうとする。謀略の罠に捕らわれていく林和。弾圧から逃れ北朝鮮に逃亡するも、朝鮮の北にも南にも理解されることはなく、ついにはアメリカのスパイとして軍事裁判で処刑されてしまう。イデオロギーと政治権力に押しつぶされ、現在でも南北の朝鮮文学史から完全に抹殺されている悲劇のプロレタリア詩人を描いたノンフィクション・ノベル。