地震・火事・水害・干魃・疫病……度重なる危機に大名たちはどう立ち向かったのか。幕府安定化に尽力した外様大藩・藤堂藩の記録を中心に、対応を読み解く。見えてきたのは、時に重い租税を課しながらも、有事には財政を傾けてまで行われる迅速な支援だった。藩主と領民との間に醸成された信頼関係は、財政強化による藩の自立の原動力となり、雄藩の登場によって、幕藩体制は終焉へと至る――時代の転換を読み解く、新視点!
【目次】
はじめに──災害からなにを学ぶか
第一部 行政としての災害復興
第一章 領民を救う藩
1 安政大地震の直撃
2 藩庫を傾けた復旧策
3 藩経営の暗黙知
第二章 戦災からの復興
1 中世の大災害
2 復興と開発の時代
3 藩の危機管理
第三章 藩公儀の誕生
1 人工の町と村
2 町の復旧
3 村の復旧
4 藩行政を支えた群像
第二部 災害が歴史を動かす
第四章 責務としての災害復旧
1 天下人の思想
2 藩の思想
3 前期明君の登場
第五章 災害と藩の自立
1 「国家」と「国民」の時代
2 災害が突きつけた難題
3 後期明君の限界
4 預治思想の終焉
むすび──流動化する国家
参考文献