「もう一度聞く。お前の本願は何だ?」この世界では “カミ”に優れた歌と踊り――「舞奏」を奉じれば、どんな願いでも叶うという。六原三言(むつはら・みこと)には叶えたい願いがなかった。類まれなる才能に恵まれ、それ故に孤独でもあったが、ただ“カミ”のために舞奏を極められればそれで良かった。しかし、皋所縁(さつき・ゆかり)はその違和感を見逃さない。探偵を辞め、とある願いを叶えるため必死に舞奏に喰らいついてきた皋は、三言のような人間を理解できなかった――。斜線堂有紀が挑む「ライフワーク」であり壮大な伝奇ミステリ。Twitterで話題の連載小説が待望の書籍化。謎を秘めた青年達の才能と業、願いをめぐる物語が幕を開ける。