高齢者に多い排尿のトラブルは、実は、誰にでも起こる可能性があります。尿トラブルの原因でもっとも多いのが「過活動膀胱」です。突然強い尿意におそわれたり、頻繁にトイレに行ったりするのが典型的な症状です。過活動膀胱の患者さんは日本に約1000万人もいるといわれています。でも、医療機関を受診しているのはわずか約20%で、女性に限ると約10%しかいません。「泌尿器科にかかるのは恥ずかしい」とか、「泌尿器科は男性が受診するところでしょ?」などと思っている人も多いようです。頻尿や尿もれは、基本的には命に関わる病気ではありません。しかし、普段の生活が送りにくくなるので、つらいものです。家族であっても話しにくく、気持ちがふさいでしまう人もいるでしょう。そういう方はぜひ、本書に掲載されているセルフケアを試してみてください。尿もれを防ぎ、尿意をがまんできるようになる「骨盤底筋トレーニング」「膀胱トレーニング」、夜間のトイレの悩みの解消につながる「足上げ寝」や「足のマッサージ」、全身の健康に結びつく生活習慣の見直しなど。どれもむずかしいものではありません。知識を身につけ、セルフケアを実践し、尿トラブルを解消しましょう。