ずっと劣等感を抱いていた。勉強や運動はもちろん、料理や裁縫もいまいちで得意だと言えるものは何もなかったし、友達を作るのも苦手。しかも、弟は俺と違って何でもできる優等生だ。なんでもいいから人より上手くできて、誰からでもいいから特別だと認められたかった。「俺の生きてる意味ってなんだよ! 誰か教えてくれよ」それでもキミと一緒に見たあの日の花火は俺に『特別』を教えてくれた。だから挑戦してみるよ、また一緒に花火を見たいから。あの夏の体験は現実だったのか――。これは『特別』になることを諦めていた少年が大切なものを見つける不思議な夏の物語。