どんなに検閲がうるさく、制限がきびしかろうとも、書いておきたいものがあった――(あとがきより)
陸軍報道部員として日中戦争に従軍した著者が愛をもって描く兵隊と中国民衆。
果てしない麦畑を進軍、九死に一生を得た徐州作戦の経験を日記形式で綴る「麦と兵隊」、
杭州湾敵前上陸作戦に臨み、死と隣り合わせの日々を懸命に生きる兵隊の心情を弟への手紙形式で綴る「土と兵隊」の2作を収録。
戦場のリアルを限界まで追求し、書けなかった現実をも想像させる名作。
特別収録 浅田次郎「時代の贄 火野葦平の従軍手帖に寄せて」