長野のりんご農家のお母さんとして忙しい毎日を過ごすせっちゃん。
日々作物を育て、収穫し……と向き合う中で、少しも無駄にせず、おいしく食べきる保存食あれこれを
長年にわたって工夫し、作り出してきました。それは同時に、忙しい日々の食卓を豊かにする術でもありました。
本書では、そんなせっちゃんの保存食の豊かさに共感した、料理家の飛田和緒さんが
春夏秋冬、それぞれの季節のせっちゃんの保存食づくりを現地から伝えるとともに、
それを生かしたさらなる「楽しみ方」も紹介。
春はふき、たけのこ、わらび、うど、そして新しょうがやいちご。
下ごしらえをして、煮たり、漬けたり、常備菜にしたりします。
夏はなんといっても梅仕事。一年中、畑仕事の合間のお茶請けに活躍するカリカリ梅や甘い梅干し漬けなど。
また、きゅうりやトマト、みょうがなど、畑でとれる野菜の保存食も欠かせません。
秋は栗やきのこ。手間のかかる栗の下ごしらえは、夜毎、コツコツ行います。
いちじくやラフランスなどの果物の保存食も、この時期ならではのお楽しみです。
冬は大根、白菜、野沢菜などの漬物を。
寒い外での作業もありますが、できたときのおいしさは格別です。
「せっちゃんの保存食は気取りがないのに
うなるほどおいしい、飽きない味なのです」