ここまで優れた作品を上梓した作者を、ただただ絶賛したい――。――書評家・細谷正充"理不尽"と闘う2人の女意気に、思わず胸が熱くなる! ――書評家・吉田伸子吉原遊郭を舞台に、女の生き様を描いた人生賛歌。遊女に夫を寝取られ離縁したばかりの梅は、生家に戻って髪結いの母の手伝いを始める。心の傷から、吉原で働く女たちと距離を置いていたが、当代一の美しさを誇る花魁の紀ノ川や、寒村から売られてきた禿のタネと出会い、少しずつ生気を取り戻していった。そんな中、紀ノ川の妊娠が発覚し――。男と女の深い溝、母娘の複雑な関係、吉原で生きざるを得ない女たちのやるせなさ。絶望の中でも逞しく生きていこうとする女たちを濃密に描く。第1回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第2回細谷正充賞受賞作。