1940年、日本の大衆文化は空前の隆盛を見せた。「外地」とされた東アジアからは多くの題材が採られ、その一方で、文化の移植・拡張も試みられた。戦争や植民地支配との関係をひも解き、「大衆文化とは何か」をあらためて考える。巻末には、500作品を超える、戦時期の大陸関連書籍・レコードのリストも収録。【執筆参加者】劉 建輝、石川 肇、細川周平、山口記弘、秦 剛、大塚英志、前川志織、井上章一、鈴木楓太、高 媛、王 志松【内容】序 統制と拡張──戦時下日本文化の力学第一章 新たなる「大衆文学」の誕生―――戦争が打破した文学の秩序第二章 兵隊歌謡――軍服を着た良民を歌う第三章 日本映画界・永田雅一の十五年戦争第四章 上海における東宝の映画工作――「茶花女」をめぐる映画史の内幕第五章 満蒙開拓青少年義勇軍とまんが表現の国策動員――田河水泡と阪本牙城の事例から第六章 「外地」における日本製洋菓子の広告戦略――子ども像を手がかりに第七章 いわゆる「帝冠様式」と中国現代建築史――旧満洲、新京の官衙を手がかりに第八章 戦時下の国民生活と体育・スポーツ第九章 戦争とツーリズム――戦前における日本旅行会の満洲旅行第十章 「外地」の大衆文化――雑誌『女性満洲』に見られるファッション終章 植民地大衆文化研究とは何か――映画「上海の月」とメディアミックス