「汝の名は『秋』、夏に続く者」―― かつて、神々たる四季は人間の一部に自らの力を与えた。春夏秋冬の季節を顕現する者は“四季の代行者”と呼ばれ、権能を得た者達は、人の身でありながら季節そのもの、つまり現人神となった。 時は移り変わり黎明二十一年仲春。 大和国の秋の代行者、祝月撫子は春を満喫していた。傍らに控えるのは護衛犬の花桐、侍女頭の真葛美夜日、若き側近の白萩今宵。そして撫子の初恋の人であり、代行者護衛官でもある阿左美竜胆の姿があった。彼らの和やかな日々は、ある外交問題によって突如霧散していく。 彼の国の名は橋国。海を挟み、大和から遠く離れた場所にある異郷の地。 陰謀蠢く橋国からの要求は、秋陣営をかつてない窮地へと追い込んでいく・・・・・・。