“あれ”から一年が経とうとしていた。「豚さんはすっかり、私がいないと生きていけない身体になってしまいましたね」 嬉しそうに言うジェスの手には頑丈な鎖が握られている。 鎖の先にはブヒブヒと鳴く一匹の豚――もちろん、俺だ。 豚と美少女、二人の奇妙な共同生活がいま、舞台を変えて再び幕を開ける。 “あれ”から四年後のメステリアでは、かつての旅の仲間たちが奮闘を続ける。 英雄は遂に結婚式を挙げようとしていた。 イノシシはかつての飼い主と再会。 龍族の青年は双子の子守りに明け暮れていた。 世界は刻々と変わっていくが、旅はずっと続いていく。 これはそれをほんの少しだけ切り取った、おまけの一冊だ。