ぼくらは、壊れても手をつないだままだった。
あのとき、手をはなしてさえいれば――。
大学生で作家のぼくは、入院した遠縁のおばあさんの家……白い桜の木がある、アニメに出てきそうな洋館・「白桜館」の管理を任された。そこにりりなと称する謎の多い10歳の女の子が現れ、彼女の世話をすることに。わがままなりりなの世話と執筆に追われつつも、いままで感じたことのない満たされた毎日を送る僕。しかし、あたたかい二人の日々は唐突に終わった。それがお別れになるとは知らず、二人が向かった先とは? りりなの本当のすがたは? 愛する人の喪失、自分自身の喪失、絶望の淵に落ちても、それでも生きていこうと思えたのは、亡き彼女からの贈り物だった。
TVアニメ、劇場映画で話題の「若おかみは小学生!」の話題の著者による「喪失」を抱えた主人公の物語。愛する人を喪い、自らをも失っても、愛することを畏れず、生きていけるのか? 感動と成長の物語。