『――悪いな、こっちも生活がかかってるんだ』
またパーティを追い出された冒険者ディルアの人生は、まさに「がけっぷち」であった。
剣も魔法もてんでダメで、パーティの足ばかり引っ張るディルアの噂はギルド内に広まっており、もはや彼にはソロで簡単な依頼をこなし、糊口を凌ぐ道しか残されていなかった。
ある日、近くの森に突如ダンジョンが現れたと知ったディルアは、そこを一番乗りで踏破するが、見つけたのはオンボロのマントだけ。落胆しつつもそれを持ち帰ったディルアを待ち構えていたのは、なぜか初対面から喧嘩腰の少女だった。問答の末、その少女は剣を抜き、いきなりディルアに襲い掛かる。絶体絶命のディルアに、どこからともなく響く声――。
『我がマントを……いや、我を纏え。我は初代魔王である!』
最強の相棒は頼れる&羽織れる! 人生がけっぷち冒険者の成長譚、堂々登場!!