ミナミコアリクイの店主が営む、瀟洒なハンコ屋兼喫茶店――『有久井印房』には今日もやっぱり「ちょっと訳あり」な人々が訪れる。
家庭と仕事の板挟みな毎日に癒やしを求めるワーキングマザー、顔も知らない父親の葬儀と相続問題に翻弄されるフリーター、さらに恋と嘘の狭間で心揺れる小学生に、先代店主の有久井師匠……?
あたたかく、そしてやさしいアリクイさんは今日もコーヒーとハンコをそっと差し出す。不思議なお店で静かに始まる、縁とハンコの物語。
えっ、印房存続の危機!? そして気になるアリクイさんの過去とは――。