老いてなお「女」でいつづける母・登勢の奔放な性を嫌悪し、実家を飛び出した不器用な姉、千歳。
穏やかなだけが取り柄の凡庸な夫の伸幸とマイホームを構え、子どもにこそ恵まれなかったが、望んでいた人生を手にいれたと信じて疑わなかった。父違いの美しい妹・ユキがある日、転がり込んでくるまでは――高度経済成長期、重工業都市として発展していく福山の芦田川河口を舞台に、母と娘の葛藤、男と女の溝、生きることのどうしようもなさを、濃密に描ききった、著者の最初で最後の現代小説!
※本書は、2017年3月25日に配信を開始した単行本「芦田川」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)